片側2車線の一般道の右車線(追い越し車線)をノロノロ走るトラックをよく見かけると思います。
「なんで遅いのにずっと右車線走ってるの?」
「遅いトラックは左車線走れ!」
こんな風に不思議に思ったり、イライラしたりする方も少なくないのでは?
タイトルには「右車線を走りたい」と書きましたが、実際は「左車線は走りたくない」というのが正解かもしれません。
トラック運転手(特に大型)にとって左車線はストレスの宝庫!
その「ストレス」を回避するため、やむを得ず「右車線を走る」んです。
- トラックは右車線を走りたいのではなく、左車線は走りたくない
- 左車線はストレスの宝庫、ストレスを回避するために右車線を走る
トラック運転手の中には「右車線の方が速いから」という方も多いのは事実です。ですが、そういう運転手は乗用車にも負けないスピードで走行しているはず。
この記事を読んで、トラック運転手のストレスを少しでも理解していただけると幸いです。
この記事はトラック運転手歴7年。
トレーラーで年間10万キロ以上走っているたくぞうがお伝えします。
それでは、どうぞ!
トラック運転手はストレスなく運転したい
トラック運転手であるたくぞうの場合、ひと月あたり8,000㎞~10,000㎞走行します。一日にすると400㎞~500㎞です。
500㎞を具体的に言うと「大阪から東京」ぐらいの距離です。
毎日こんな距離を走っていると、「ストレスなく運転したい」と考えるようになります。
みなさんも仕事でのストレスは嫌ですよね?
中には「適度なストレスが緊張を生む」という方もいらっしゃるでしょう。ですが、運転手のストレスは事故を起こす原因にもなりますので、どちらかと言うとストレスはない方がいいです。
運転でいえば、混んでいる道より車が走っていない道の方がストレスなく運転できます。
赤信号にたびたび引っ掛かるより、ずっと青信号で快適に運転できれば最高ですよね。
トラック運転手も同じように考えています。
運転手のストレスは事故につながりやすくなります。
そこで、「ストレスの宝庫」である左車線は走りたくないというのが本音です。
なぜトラックは右車線を走りたがるのか?
「左車線はストレスの宝庫」だと何回もお伝えしましたが、具体的に何がストレスに感じるのでしょうか。
実際たくぞうがトラックを運転している際、右車線を走る(ストレスを感じる)理由を挙げてみましょう。
- 街路樹や標識よけている
- 二輪車をよけている
- 障害物をよけている
- 通行帯が指定されている
- 挙動のおかしい車をよけている
- 先で右折する
- 遅い車をよけている
- 路面状況がわるい
- 道路幅がせまい
- 信号を意識している
中には長時間右車線を走るものもありますし、一瞬だけ右車線を走るものもあります。
街路樹や標識をよけている
意外と多いのが街路樹が走行のじゃまをしています。
乗用車ならまず気になりませんが、背の高い大型トラックは「街路樹の枝」がとてもうっとおしいんです。
幹線道路などには街路樹が多く、整備されていないところも少なくありません。
はみ出した街路樹をよける度に、中央に寄ったり、車線変更を繰り返す方が事故をおこす危険も増えるので、ずっと右車線を走るようにします。
乗用車から見たら「フラフラして危ないトラックだなー」と思うかもしれませんが、実は「木の枝」をよけたりしてます。
二輪車をよけている
トラックの死角に入りやすい自転車や原付が多い道路では右車線を走ります。
原付は速度がある程度出ているので、こちらも減速は可能ですが、自転車が急に左側から歩道ではなく、車道に出てくるケースがあります。
この場合は自転車の速度が遅すぎて減速が間に合いません。
乗用車なら車線をはみ出さずにかわすことができますが、大型トラック(特にトレーラー)は右車線の半分くらいハミ出さないとかわしきれません。
また、信号待ちしている間に車と歩道のわずかなスキマを走行する原付は「とても怖い存在」です。
この場合も事故を起こす前に右車線を走るようにしています。
トレーラーは全長16mほどあるので、スリ抜けはとても危険ですよー!
障害物をよけている
地域にもよりますが、2車線あると左車線は路駐するトラックや乗用車が目立つ路線があります。
その路駐している車をいちいちよけなくていいように、右車線を走ることもあります。
通行帯が指定されている
みなさんはこの標識をご存じでしょうか?
これは大型車や大貨、けん引車の通行区分を表しています。この標識がある道路では指定された通行帯を走行します。
トラックの交通量が多い幹線道路などでは、環境や騒音に配慮して右車線を大型車の通行帯にしている場合があります。
乗用車の方も「この標識があるから右車線を走っているんだな」と認識していただけると助かります。
挙動のおかしい車をよけている
スマホを触りながら運転している車や、高齢者ドライバーなどがこのパターンです。
トラックを運転していると乗用車の運転手がスマホを触っていたりするとよくわかります。
蛇行したり、急にスピードが上がったり下がったり。
また、高齢者ドライバーは極端に遅かったりします。
長年運転していると、「この車はあの店に入るんだろうな」「次の交差点で右折するんだろうな」とか、前の車が次に起こす行動がある程度わかるようになります。しかし、高齢者ドライバー(特にめちゃくちゃ遅い車)は予測が全くできません。
ウインカーを出さずに曲がることも多々あるので、あらかじめ右車線を走って事故の危険を回避します。
「ながら運転」はとても危険です!
先で右折する
目的地が近く、数キロ先で右折する場合も前もって右車線を走ります。
乗用車なら信号手前ですぐ車線変更できますが、トラックの場合乗用車のような急な車線変更ができません(というか、なかなか入れてもらえません)。
交通量の多い幹線道路などは特に早めの車線変更をするようにしています。信号でいうと3,4つ前ぐらいから車線変更する感覚です。
遅い車をよけている
単純に自分より遅い車をよけるために右車線を走行します。
さらに、抜いた車の少し前にもう一台遅い車がいると、「ついでに抜いておこう」という具合です。
トラックは乗用車に比べ運転席が高いので、少し先の状況をみて判断しています。
ちょこちょこ車線変更する方が危ないですからね。
路面状況がわるい
2車線ある道路の左車線は大抵ボコボコしています。交通量が右車線に比べると左車線の方が圧倒的に多いからです。
ボコボコした道路を走ると、道路のクボミやワダチにハンドルを取られたり、荷物に過度な衝撃を与えてしまいます。
積載している荷物にもよりますが悪路はできるだけ避けたいです。
特にひどい路面だと、衝撃でドライブレコーダーが録画を停止(事故だと判断)します…。それぐらいトラックの衝撃はすごいんです。
道路幅がせまい
市街地の2車線道路に多いのが、左車線が右車線より少しせまくなっている場合。
左ミラーをたたまないと走行できませんし、普通にハミ出たりすので右車線を走るほうが安全です。
信号を意識している
道路によっては一定の速度で走ると信号に引っかからない速度があります。大抵が制限速度の前後です。
この場合も右車線を走ります。
こういう道路ではスピードを出しても同じなので、どうせならゆったりっしたスピードで信号に引っ掛からないほうが良くないですか?
右側を走るトラックの対処法
トラックから距離をとる
遅いトラックの後ろをピッタリマークする乗用車をよく見かけます。
おそらくイライラしてピッタリマークしているのでしょうが、トラックの前は普通に混んでいることがよくあります。
遅いトラックが前にいたら少し距離をとって、トラックの前を確認してみましょう。
直線では確認しにくいと思いますので、カーブで確認することをおすすめします。
また、2トンや4トントラックならピッタリマークしても気づきますが、トレーラーにピッタリマークしても全く気づきません。
一度心を落ち着かせて距離をとってみましょう。
トラック運転手の本音
あくまでたくぞうが思うところですが、トラック運転手の本音を紹介します。
実は抜いて欲しい
たくぞうは基本的に左車線をゆっくり走りたい派です。しかし、先ほど挙げたように右車線を走る場合もよくあります。
「遅くてスミマセン」と思いながら走るときもあります。
本来、左車線からの追い越しは違反ですが、右側を走る遅いトラックがいたら、左車線から適正速度で追い抜いていただくと助かります。
街路樹も抜いて欲しい
これは国や地方自治体に向けての希望です。
極端に書いてますが本音です。
街の景観やCO2対策もあるのかもしれませんが、正直めちゃくちゃ邪魔です。
整備してくれるのなら良いのですが、整備できないのなら街路樹を抜いてください。お願いします。
一般道でも長時間の右車線走行は違反
「高速道路の右車線は追い越し車線で、追い越したら速やかに左車線へ戻る」という認識の方は多いと思います。
実際、右車線を長時間または長距離走行すると違反で取り締まりの対象にもなります。
しかし一般道はどうでしょう?
一般道でも高速道路と同じで、右車線の長時間または長距離走行は、取り締まりの対象になります。
厳密に言えば違反になるけれど、一般道では右左折する事情があるのでそこまで取り締まらないということです。
まとめ:お互いを理解して余裕を持った運転をしよう!
いかがでしたでしょうか?
トラックが右車線走る理由をまとめてみると
- 街路樹や標識よけている
- 二輪車をよけている
- 障害物をよけている
- 通行帯が指定されている
- 挙動のおかしい車をよけている
- 先で右折する
- 遅い車をよけている
- 路面状況がわるい
- 道路幅がせまい
- 信号を意識している
このように乗用車には分からない、右車線を走る理由が存在します。
また遅いトラックをみかけたら
- トラックから距離をとって、トラックの前方を確認する
右車線を走る遅いトラックがいたら、このことを思い出していただけると大変ありがたいです。
お互いを理解して余裕をもった運転をし、トラック・乗用車が共に安全に走行することが事故を減らすことにもつながります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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